ミスター・チルドレン「しるし」 ~不愉快な初夢

今年の初夢は、ブレーキを踏んでも車がいうことをきかず停まらない、という普段からよく観るものだった。
いつ観ても嫌なこの夢、観るようになってから何年も経つが、一体何の意味があるのか?
ずっと観続けてるということは、僕は同じ問題を解決できないままだという証拠だろうが、抱え続けてる問題はひとつじゃないしなぁ。。


昨年からロングラン・ヒットとなっているミスチルの「しるし」という曲がとても好きだ。
ずっと歌われてきた桜井和寿の世界観を凝縮したようなバラードであるこの曲だが、初めて聴いた時は大味なメロディの曲に思えたのと、“ダーリン、ダーリン”というサビの部分のフレーズが安直に感じたことでそれ程好きにはなれなかった。
しかし何度か耳にするにつれ、この曲が持つ繊細な部分が僕の琴線に触れた。

しるししるし
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桜井和寿の歌うラヴソングは、過剰なまでの不安感を常に帯びている。
恋人の素晴らしさを、そしてその恋愛の素晴らしさを歌っていても、そこには常に今にも破綻をきたすかもしれない危うさに対する恐怖のようなものが同居している。
彼のラブソングはひたすらそれらのことを自分に対して確認するように歌われている。
彼の歌の中に幸せの絶頂はない。
至福の恋愛を歌うと同時に、それが実に不完全なものであるということを歌う。
その不完全さを受け入れて進んでいこうという決意表明を自分に言いきかせるようでもある。
だから彼の歌うラヴソングはとてもヘヴィーで、リアリティを感じさせる。

最初からこうなることが決まっていたみたいに
違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いている
どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ
左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる

心の声は君に届くのかな?
沈黙の歌に乗って・・・

ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴らしくて 僕は愛を思い知るんだ
「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
今、微妙なニュアンスで君は示そうとしている

      ( 「しるし」  作詞:桜井和寿 )


すこし真剣にそして正直に考えてみればすぐに分ることだ。
恋愛なんてとても不完全なもの。
お互い分かり合おうとすればするほど、不完全さはその姿を露にしてくる。
あらかじめ損なわれているものを砦にしながら僕らはみんな生きていかなければならない。
そのことを知らしめるかのようなラヴソング、それが「しるし」だ!

「しるし」のようなラヴソングが大ヒットする。
それは多くの人が恋愛の持つ不完全さに気づいているということだと思う。
そしてそれでも多くの人は恋愛を求める。
答えのないものに答えを求めるのはとても愚かなことに思える。

ということは、生きるということも実のところ愚かな行為なのかもしれない。

そんなことを、不愉快な初夢の余韻の中で考えた。



もしかしたら一般的にはさわやかなイメージをもたれてるのかもしれない桜井和寿だが、僕はトム・ヨークばりに少々パラノイア的で被害妄想チックな困った人ではないかと考えている。
そして僕はそんな彼の歌にどうしても共感してしまう。


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