ケンドリック・ラマー 『To Pimp a Butterfly』

アルバムは、
“エヴリ・ニガー・イズ・スター”というサンプリングされたフレーズと、続くそれを掻き消すような、ジョージ・クリントンの「ヒット・ミー!」という発声で始まる。

ヒップ・ホップは好きなはずだったんだけど、最近はあまり聴いていない。
ヒップ・ホップをよく聴いていた90年代の作品は今でも聴くが、新譜として聴くのは、カニエ・ウェストとゴースト・フェイスキラー以外ではよっぽど話題になった作品のみだ。
何故だろう、と考えてみた。
経済的な理由で音楽に使う金額が少なくなり、元来ロックファンの僕はついヒップ・ホップをないがしろにしてしまった、というのがきっと正解だと思う。
実にたわいのない、そしてくだらない理由。
しかも僕の好きなベテラン・ロック・アーティストの多くは、アーカイブ・ビジネスに熱心で、お蔵出し音源や映像をやたらめったらリリースする。
なので、新譜以外の出費がかなりかさむ。
ストーンズが最大の元凶である。
きっといつか、サザンもアーカイブ・ビジネスに手を出すだろう(多分買っちゃうな)。

で今日お題のケンドリック・ラマーであるが、前作アルバム発売当時かなり話題になっていたのでチラッと聴いたら、これが思いのほか良くて、すぐさまアルバム購入した。
じっくり聴くと、かなり良かった。
けっこうお気に入りの一枚だった。
あれは確か2013年。
そして今年、彼のニューアルバムが突如発売された。
最近こういう風な突然の発売が多い。
当然そういう場合はダウンロード先行が多かったりするのだが。
CD派の僕はCD発売を待って購入となる。
で、CDを購入して聴いたケンドリック・ラマーのニューアルバムだが、これ最高じゃないか!?
英語が分からないのに、ヒップ・ホップについて評価するのは間違ってると思ってる。
でも聴いてて気持ちいいんだもん。
感情が変化するんだもんな、これが。
凄くいいと思う、このアルバム。
素晴らしい。
英語が分からないのにヒップ・ホップの評価なんて出来ないと思う。
それでも、このアルバムを聴いていると僕は気持ちよくなるし、魂が高揚する。
僕にとってはそれで充分だ。
誤解かもしれない、勘違いかもしれない。
でもケンドリック・ラマーのニューアルバムが僕の心を撃ち抜く、この事実は否定できない。
このアルバムは素晴らしい!
ブルース・スプリングスティーンを初めて聴いたとき、何のことを歌っているか分からなかったけれど、他のアーティストにはない何かがあることが分かったし、その何かが僕の心を打ちぬいた。
それと同じである。

アルバムからの最初のミュージック・ビデオである「i」
たまらなくファンキー!




素晴らしいヒップ・ホップは、メロディーを愚鈍なものに感じさせてしまう。
優れたラップを前にすると、メロディーというものは、とても鈍臭く感じてしまうのだ。
ヒップ・ホップが持つ性急さ、それは今多くのロックから失われてるものではないかと、ロックをこよなく愛する僕は思う。
もしかしたら、ヒップ・ホップというスタイルを前にしては、ロックは最短の道を進むというより、回り道でも目的地を目指せばよいという種の表現形態だと言えるかもしれない。
それぐらい、時代はロックを回りくどいものに感じさせる。

とにかく、ケンドリック・ラマーの最新アルバム『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』は最高である!

ファンキーでソウルフルな(Jazzyでもある)ヒップ・ホップ・アルバムである今作は、ヒップ・ホップを普段聴かないけどブラック・ミュージックは好きだという人にも、必ずや気に入ってもらえる作品だと僕は思っている。
カニエ・ウェストのような革新性はないかもしれない。
しかし彼と同じぐらい、ケンドリック・ラマーは本物であり、彼と同じようにヒップ・ホップ・シーンのみならず、ブラック・ミュージク・シーンのトップ・ランナーとして今最も重要なアーティストの一人だと思う。
まぁ一度聴いてみてほしい。

傑作だと思います、本当に!!




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アルバムは最後、ラマーによる詩の朗読、そしてジャズ・グルーヴに乗っかって2パックの過去のインタビュー音源を用いた彼との疑似対話とラマーのメッセージで終わる。





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この記事へのコメント

るーさ
2015年04月22日 07:29
外国人のヒップホップは良いけど 日本人のヒップホップは聞く気にならないと昔の会社である人がいってましたが頷けました
リップスライムやDAなど良いアーティストもいましたが 何か日本人には向かないかな
ストーンズの69年のメモフロムターナーはビートがヒップホップみたいでブルースギターが絡みつきまるでベックのルーザーですね
作品の出来としては良くないけど69年としてはすごいスタイルだと思いました
2015年04月23日 23:40
>るーささん

「メモ・ムロム・ターナー」は映画『パフォーマンス』での、ミックの曲ですね。
僕、結構好きです。
で、日本のヒップ・ホップですが、日本のヒップ・ホップはアメリカのヒップ・ホップとは明らかに別物だと思います。
これは良い意味で。
アメリカに近づこうとし過ぎているものに、つまらないものが多いような気がします。

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