『1Q84』と『ボーン・イン・ザ・USA』

村上春樹の昨年発売された『1Q84』の続編を読んだ。
前2作(BOOK1、BOOK2)との一番分かりやすい違いは、今作BOOK3より天吾と青豆に加え牛河が独立した章として登場すること。


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これによって話が分かりやすく(つまり感情移入しやすくなる)なった。
あくまでも僕にとってはだけど。
読後の正直な感想は、面白かったけどよく分からなかった、だ。
僕は長年の村上春樹のファンだけど、というかそもそもこれまで読んできた全ての物語も実は何も分かっていないのかもしれないが、とにかく今回はよく分からなかったというのをはっきりと自覚している。
だからというわけではないが、なぜ今回この全3作にわたる『1Q84』がこれほどまでに大ヒットになったか不思議だ。
前2作に続き、今作もヒットしているということは、少なくとも前2作を読んだ多くの人はそれを面白いと思ったのだろう。
しかし、物語を理解できたのだろうか。
全く勝手な根拠のない想像だけど、きっとよくわからないけど面白かった、というような僕と同じ捉え方ではないのだろうか。
別にそれでいいと思う。
面白かったなら、それで。
それのどこが悪いというのか(別に誰かに悪い!と言われたわけではない、被害妄想がくせなのだ)。


でもだ、でも、そうは言う僕だけど、ちょっと気になることがある。

それはブルース・スプリングスティーンの「BORN IN THE USA」だ。
1984年に発売された、ブルース・スプリングスティーンの世界的メガヒットアルバムのタイトル曲であるこの曲にまつわる一騒動だ。

ボーン・イン・ザ・U.S.A.ボーン・イン・ザ・U.S.A.
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世界的メガヒットとなったブルース・スプリングスティーンのアルバム『BORN IN THE USA』のアルバムタイトル曲でもある同名曲はシングルとしてもヒットしたのだが、

その高揚感豊かなサウンド、メロディー、そしてヴォーカルに多くの人がこの曲を誤解してしまったのだ。

ベトナム戦争の影響下、この国(アメリカ)で生きていくことの困難(決意といった意味もあるだろうが)を訴えた楽曲なのに、希望に満ちたアメリカ賛歌という風に多くのアメリカ人が捉えてしまった。
これはちょっと滑稽だ。

当時レーガンが次期大統領選挙のキャンペーンソングにこの曲を使いたいとオファーしたのは有名な話。
もちろんスプリングスティーンは断ったが。

多くの誤解、それが超メガヒットの要因でもあった。
もっと言うなら、誤解を生む隙があるからこそ多くの人から支持されるのである(つまり間口が広いため、多くの人が自分にとって心地よい解釈をすることが出来る)。

だからといってこの曲の素晴らしさが損なわれるわけでは、もちろんない。

そして誤解して気分よくなっている人にも罪はない。

音楽は、表現者のものであると同時に、それを受け取る側のものでもある。
受け取った人がどう受け取ろうと、それはそれ。
受け取った人がそれで楽しんでいるなら、それでよし、なのだ。
時にそれが滑稽に映ってもだ。

誤解という表現も間違いなのかもしれない。

ポップミュージックとは、いやポップと名の付くもんなんてそういうものなんだと僕は思う。


というわけで、読解力の優れた人からすれば、僕の『1Q84』の楽しみ方は滑稽に映るのかもしれない。
しかし僕が自分で稼いだ金で買った本を、どのように楽しむかぐらいは僕の自由にさせてもらいたいのだ。

世の中辛いことが多い、だれかに甘たい夜、でも甘えさせてくれる誰かもいない、そんな夜を乗り越えて生きているのだ。
誤解であれなんであれ、他人に迷惑をかけていない以上、好きに楽しませてもらう。


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しかしこんな文章を書いてしまうってことは、自分の『1Q84』に対する読解力に凄いコンプレックスを感じてるんだな、
とここまで書いてみて気が付いてしまった。
ショぼい奴だ。。




『1Q84』に出てくるヤナーチェックの音源は

バルトーク : 管弦楽のための協奏曲 / ヤナーチェク : シンフォニエッタバルトーク : 管弦楽のための協奏曲 / ヤナーチェク : シンフォニエッタ
クリーヴランド管弦楽団

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僕なら<世界の終わり>に安住する気がする。
悪くない生き方だと思うが。




スプリングスティーンはこんなDVDがまもなく発売。
楽しみ。
来日祈願!

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ジャイアンツ・スタジアムでのの曲も収録予定。
















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この記事へのコメント

JT
2010年06月24日 02:40
こんばんは、JTです。

昔から疑問でした、『BORN IN THE USA』。あの歌詩になんであの曲調とあのアレンジ。日本人がアメリカ賛歌と勘違いするのは分からなくもないが、またなぜ歌詞が聞き取れるアメリカ人も勘違いするのか。

歌詞の内容は映画「帰郷」や「ディア・ハンター」の世界ですよね。ボスに聞いてみたいです、理由を。

あ、ちなみに初来日の時、コンサート終盤で「俺はもう帰ってもいいか?」と叫んだ時、本来なら客はブーイングする所なのに、英語が分からない日本人の客は「イェー!」と叫んだのでボスは困ったらしいです(笑)。
まり
2010年06月25日 07:36
私もアメリカ賛歌の歌だと誤解してました。
サムライジャパンはデンマークに3-1で勝ちましたね!!

摂津の子の大活躍でここまできましたね
次はウルグアイだ
2010年06月26日 02:15
>JTさん

アメリカ人は基本的に楽しみたいんでしょうね。
初来日公演僕も行きましたが最高でした。
また来て欲しいです。
2010年06月26日 02:22
>まりさん

ウルグアイはさらに強いと思いますが、頑張ってほしい。
やる気になるのが遅いですよよ、日本代表。
ねぇ。
toto
2010年06月28日 12:42
ときはかねなり。
リュウ
2010年06月29日 19:36
すっかり出遅れました・・・汗

1Q84の売れ方は、昔の「ノルウェイの森」的な感じ方をしてます。あんな暗い小説が、あんなに売れること自体驚きでしたから・・・。

読解力に自信はありませんが、Born~ほど誤解されてる歌は無いですよね!

ボスらしい曲ですが、どうひっくり返してもアメリカ万歳にならない・・・、不思議です。
2010年06月30日 02:42
>totoさん

それはそうです。
2010年06月30日 02:45
>リュウさん

『ノルウェイの森』はもっと凄い売れ方でしたね。
赤とグリーンの装丁もよかった。
「ボーンイン・ザ・USA」にはボスも複雑でしょうね。

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